コォラとフェヴァの戦闘記

【訓練編】

 

 

 

ドガァァァン!!

 

 

爆発音が漆黒の空に轟くと同時に赤とオレンジの花火のような火花が散った。

爆炎赤い光を体に浴びつつ、5人の訓練兵は強張った表情を安堵の表情へと変える。

 

「あ〜。訓練終了の合図が出たので、今日はここで終わる。」

 

最後尾を走っていた10代後半の男性【リッキー隊の隊長コォラ】が、晴れ晴れとした様子でパンパンと手を叩く。

 

しんと静まり返った廃墟に、やけに大きく響く。

「おい、手を叩くのは何か意味あるのか?」

すぐ真横で同じ10代後半の男性【副隊長のフェヴァ】が冷ややかに行動を聞く。

「いや、なんとなく。」

「なんだ、意味あるのかと思った。」

 

 

 

しばらく間があり

 

 

 

 

シャァァァァァァァ!!!

 

 

 

物陰からニンゲンモドキが姿を表した。

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

 

安堵の表情だった訓練兵は顔を真っ青にしながら、
収めかけた日本刀を危なっかしい手つきで鞘から抜く。

だが、ニンゲンモドキの方が早い。

 

「ぐわぁ!?

 

訓練兵、ギィジャは上から振り上げられる拳で頭を強く叩かれ、尻餅をつく。
軽い脳震盪を起こしてそうだ。

 

「ギャジャ!?

 

訓練兵、ローポが助けるためにすぐさま切りかかる。

 

シャァァァァ!

 

日本刀をニンゲンモドキのわき腹に深く差し込む。
赤い血が『ビシャ!』と二人に降りかかるが、
そんな事はお構いなしにローポがそれを力を込めて凪いだ。

ニンゲンモドキは胴体から真っ二つになりながら、地面へ倒れる。

 

「おお、上手くなったな。ローポの奴。侍に転職した方が良くないか?」

「・・・・・・呼んだのか?おい。」

コォラは彼を褒めるために手を叩こうとするので、フェヴァは慌てて止める。

「マテマテマテ。さっきニンゲンモドキが出てきた原因、分かってんのか?」

「やだなぁ、単なる偶然、偶然。」

「お前が言うと嘘に聞こえる。」

「はいはい、だったら拍手しなきゃ良いんだろ?」

やれやれと肩をすくめると

「あ〜。訓練終了の合図が出たので、今日はここで終わる。--合!

 

訓練兵達を呼ぶためにパンパンと手を二回叩いた。

 

しんと静まり返った廃墟に大きく響く。

 

 

「・・・・・・・お前という奴はぁぁぁぁぁ!」

「拍手してないし。」

「そうゆう問題じゃねぇぇぇ!叩くなってんだ手を!」

 

 

グォォォォォォォォン!

3メートルはあろうイヌモドキが現れた。

「うぎゃぁぁぁぁぁぁ(よりにもよってぇぇぇぇ)!!!!!!

 

 

訓練兵全員、日本刀一つで戦いを挑む。

「ほらみろ、やっぱり手を叩くと出てくるじゃないか!」

皺を寄せるフェヴァに対し、コォラは涼しげに答えた。

「仕方ないだろ、研究所の奴らがそうゆう風にシツけてるんだ。」

「・・・・・知ってたのか?」

「今思い出した。それに俺一人でもあんな犬、敵でもないし。」

「訓練兵には十分脅威なんだよ!」

コォラは血まみれになりながら戦う5人の訓練兵を遠い目をして眺める。

「ま、臨機応変に生存してもらおうか。」

腕を組み、ほのぼのとほとんど死にかけている5人の訓練兵の動くさまを見守っている。

これがリッキー隊の隊長であると同時に、トラブルを嬉々として招き入れる男である。

 

「ってか、助ける気ゼロ?」

 

 

 

今日の訓練内容。

クローン作成段階に失敗し廃墟に捨てられた意志のないナマモノを処分する

注意 人間だけとは限りません。