鬼の日々 やはりいつもと変わらず

 

 

体が完全回復して、次の日魄はいつもの日常に戻ることが出来た。

 

「だからってな〜ぁ。もう、あのセンコーは課題出しすぎ!!」

黄昏時、家へトボトボ帰っているのは、疲れを前面に出している魄だ。しばらく休んでいる間に課題が出ていて、明日中に提出だと言われた。

調子が悪かったので少しだけ先延ばし出来ないとかと抵抗してみるものの、駄目だった。

それもそのはず、両親が告げた休む理由が魄でも呆れるほどむちゃくちゃだった。

大人しく風邪で寝てると言えば良いものの、眠いから休むそうですといったらしい…。

前もって休む理由を告げるべきだった。まさかここまで人間味がないと思わなかった。

実際はある意味生死の境を彷徨っていたのだ。もう少し考えてもらいたいが、今更どうにもならない。

「あの人たちの水に毒もってやろーか!!ったくもーー!!」

 

「だったら口に出さずに静かに実行すんだな」

 

背後から声がかけられ、魄はぐるんと90度回転しながら後方を見やる。

ラフな姿の鷹尾が嘲る様な表情をしながら歩いてきていた。彼を見ると魄は嫌そうに顔を歪める。

「しないわよ。別に…」

「へぇ」

「あんなヤツラやるのに薬なんていらないもん。ちょっと捻ればいいんだから」

ベキベキと手の指を鳴らすと、鷹尾がほんの少し表情を強張らせた。そのまま魄の横を素通りして先を歩く。

「そりゃ怖い」

信じ込んだかも…と魄は思い、鷹尾の横へ付いて歩く。

「まぁ、冗談持入ってるけど…ったく…いつかホントにやりそうで怖いわ」

「うわ。人殺しになるか?」

あまりにもオーバーリアクションに、魄のコメカミがピクリと反応する。

「タカが第一号になる?」

ちょっとドスを聞かせたような口調になるが、鷹尾は東の空を見ながらため息を一つ。

なによ…という前に魄もその気配に気づいた。

「俺よりも、向こうからやってくる妖鬼が第一号っぽいな」

魄はげんなりしながら酸素不足のように呻く。

「あ゛―…そういえば、まだ妖鬼を片付けてなかったわね……。明日までに…宿題…ださなきゃなんないのに…」

頭痛でもするのか、魄は手を額に当ててフラフラな足取りになる。

鷹尾は面白そうに彼女を見て、少し首を傾げながら

「そりゃ大変だなぁ〜」

他人事のように言い放ち

「夜にいくか!のんびり徹夜で退治する!いい案だろ?」

意地悪っぽい笑顔を浮かべる。

魄は半眼で彼を見ながら「ぅっわー」と嫌そうな声を出して、怒鳴った。

「今すぐ行くの!!ったくもーーー!タカもいつかぶっ飛ばず!!」

 

 

当たり前のやりとりが始まり

そしてまた、いつもと変わらない日々が続く…