コォラとフェヴァの戦闘記

【古代蛇A】

 

 

 

 

勘は見事的中し、無事に地下研究所の入り口にたどり着く。

 

「本当に勘で着くとは思わなかった。」

 

「はは、何かい?俺達があのまま迷って凍死するとでも思ってたのか?」

 

「ああ、半分。」

 

「半分か・・・凍死する確立が99%と言って欲しいね。」

 

「マジで、だな。」

 

「あ、早速ドアが出迎えだ。」

 

いかにもハイテク機器が導入されている電子ロック式ドアだ。

 

これを開けるにはカードキー、指紋、暗証番号の3つが揃わなければ入れそうも無い。

 

「困ったな。」

 

「まかせておけ。」

 

「ほほう?何か策が在るのか?」

 

「俺は機械とはお友達だ。」

 

「・・・・・・・・・・は?何する気だ、コォラ?」

 

コォラはツカツカと電子ロック式ドアに近づくと、カード専用機械の前に立った。

 

 

「開けぇぇぇぇぇぇい。」

 

 

ゲシ!!!!

バギィ!!!!!!

 

 

機械に片足をめり込ませる。

へこんだ金属が小さな電気を出しつつ悲痛な音を響かせる。

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

 

エラー

 

 

「開けてくれ、お友達!」

 

 

ゲシィィィ!!!!!

バギィィィ!!!!!

 

 

もう一度機械に片足をめり込ませてみる。

へこんだ金属がさらにへこみ、ショートする寸前だ。

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

 

OK

 

 

ドアがサァァっと開く。

 

コォラは汗が出てもいないのに額を腕で拭くと、爽やかにへこんだカード専用機械にお礼を言う。

 

「ありがとう、お友達。」

 

「やな友達だなぁ、おい。」

 

「結果オーライ★」

 

 

電子ロック式ドアを抜けると、中も近代科学の結晶とも言わんばかりの近代的な構造をしていた。

 

ドアの近くに救助を待っていたらしい研究員が二名出迎えてきた。

 

「ご苦労様です!」

 

「お待ちしてました!こちらにご案内します。」

 

モニター室に向かう途中でフェヴァは詳しい事を聞き始めた。

 

「ええと、他の生存者は?」

 

「警備員が8名と研究員6名です。それに先ほど古代蛇退治をする兵の方が4名到着しました。」

 

「うわ、少な!」

 

黙れ。えと、今のところ何人喰われたんですが?」

 

「・・・・・・20人です。寝ていたときとか、移動しているときとかに・・・。」

 

「うわ、まだ2日しか経ってないのにもうそんなに。」

 

「コォラ、何故顔が嬉しくて嬉しくてたまらないような笑みを作っている。」

 

「武者震いさ。」

 

「着きました。ここがモニター室です。」

 

ドアが開くと壁という壁にテレビが埋め込まれており、各通路や部屋が映し出されていた。

 

白衣を着た研究員が3名、警備員の服装を着た人が4名居た。

 

「わぁ、見るのに骨が折れそう。」

 

「全くだ。」

 

「君達は二人だけか?」

 

部屋の中央に回転座席があり、一人の男性が座っている。

 

硬そうな白髪と白ひげがあり、眼鏡をかけてた50代後半を思わせる男性だ。

 

「そうだが、お前は?」

 

「ここの研究室の管理責任者、ジュアバ=ロバートだ。」

 

「そうか。俺はコォラ。リッキー隊の隊長だ。」

 

「同じく副隊長のフェヴァ。」

 

「リッキー隊?聞いたこと無いが・・・・。」

 

「だろうな、何せ主に訓練兵を一人前の隊員にする為の隊だし。」

 

 

一瞬の沈黙

 

 

「・・・訓練兵の隊長が、何しにここへ来たんだ?」

 

「乗る飛行機を間違えた。」

 

「・・・その通りなんだが、ストレートすぎるなぁ。」

 

 

「・・・・・・・仕方ない、先ほど来た古代蛇退治達に期待しよう。」

 

ロバートは画面の方へ視線を向けた。

 

 

「無視されたな。」

 

「気楽でいいじゃないか。セル隊の活躍に期待しよう。」

 

「ん?お前、どこまで知ってるんだ?」

 

「ははは、ここに来て退治する任務がセル隊だってことや、来ている人物が実はエリート校出身の奴らばかりで実戦経験がゼロに等しいとか、知ってるはず無いじゃないか。」

 

「説明有難う。」

 

 

画面はある通路を映していた。

 

熱パイプとガスパイプが交互に通っている。

 

そこへ何やら、うねっとした長い物体が猛スピードで過ぎ去ってゆく。

 

コォラとフェヴァ、そして案内した研究員の一人がそれを偶然目撃する。

 

「ひぃぃぃ!」

 

研究員の驚きの悲鳴に皆が注目する中、この二人だけはのん気そうに話していた。

 

「見たか?フェヴァ。蛇の通過する決定的瞬間。」

 

「結構大きいなぁ。25メートルくらいありそうだ。」

 

「人なんぞ、人飲みだろうな。」

 

「…何でそんなに嬉しそうなんだ?お前は。」

 

 

『ロバート、おいロバート聞こえるか!?今蛇は何処に居る?』

 

 

通信機から声が聞こえる。例のセル隊だ。位置確認をしたいようだ。

 

「聞こえる。今画面に古代蛇が映った。B区域のようだ。そっちの様子はどうだ?」

 

『B区域か・・・挟み込みたい。そっちの警備員を数人呼んでくれ。』

 

ロバートが警備員に視線を向けると、警備員は嫌そうに顔を歪めた。

 

「行ってくれるな?」

 

「あれは化けもんだ!さっさと逃げるべきだ!皆殺される!」

 

「マント君、君は何のために居るのかな?こんな異常事態を食い止めるために居るんだろう?クビか行くか二つに一つだ。どっちを取る?」

 

「俺なら間違いなくクビを選ぶな」

 

「同感だ」

 

二人はロバートに聞こえないように呟いた。

 

マントは瞬間迷ったものの、無線機で仲間に連絡をする。

 

「おい、仕事だ。B地区へ向かうぞ。」

 

「私たちも行きます!」

 

若い正義感に溢れる研究員が二名、名乗りを上げた。

 

「蛇なら生態系を詳しく知っている私たちがいけば、より確実に仕留められると思います。」

 

「・・・分かった。ついて来い。」

 

間もなく警備員5名と研究員2名を乗せた室内カーが画面に映った。

 

コォラが急に踵を返して出入り口へ足を向ける。

 

「行くのか?」

 

「ああ、そろそろ動こう。」

 

「分かった。」

 

出ようとすると、ロバートが声をかける。

 

「精々足を引っ張らんようにな。だいたい・・・・」

 

 

「はいはい。」

 

「へいへい。」

 

無気力で答える。

 

そのまま出たので、その後のロバートの言葉は聞こえなかった。

 

 

 

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