コォラとフェヴァの戦闘記

【死人蘇り編9】








〜後(うしろ)の祭〜

 

 

深夜に入ったため、真っ暗だ。

その中に全体が輝いているバスが二台、走ろうとしている。

そのバスに有名人が乗っているかのような、沢山の…

町中のゾンビが集結し、止めようと群がっていた。

だが、今のところ、バスのほうが強いようだ。

 

「わぁお!まるでお祭騒ぎだなー」

 

心底楽しそうな発言に、フェヴァは気に入らなさそうに眉をひそめた。

 

「不謹慎だぞ。コォラ・・・

本来なら…護らなければならないのに…」

 

「だよなー。俺らの国で、俺らの国の市民だったら

無条件に力を発揮できたんだけど…いや、ホント惜しい。

変な命令条約がなければ、明日まで全員ここにいれたのになー」

 

「・・・そうだな」

 

「だから仕方ないンだよ。フェヴァ」

 

「・・・・・・ああ」

 

「オレはさ。平たく完結に述べると

お前を守るって決めたから、生きているだけなんだ…

この『命令』に、絶対服従なんだよ。

コォラ様唯一の弱み〜あははははー!!!!」

 

「そっか…」

 

フェヴァは少しだけ笑って、バスを見た。

 

「彼らはこれからどうするんだろうか…

無事に生き延びてくれるといいんだが…」

 

「まぁ、ヘリが来たらマリンなんとかってところへ行こうぜ。

船で行くって行ってたし、運がよければ回収できるさ」

 

「そうだな」

 

バスの光はどんどん遠ざかる。

それと同時に、ゾンビも移動する…

きっと、全速力で。

 

 

「今、この町の住人全員、オリンピックでメダル狙えるな★」

 

「そのくらいの感想しか持てんのか!?」

 

 

 

















 

 

『こちら、救助ヘリ。応答、願う』

 

「はい、こちら・・・・・です。

救助場所・・・・・

生存人数二名」

 

パラパラパラパラ

 

中型の輸送ヘリがコォラとフェヴァの頭上に到着した。

 

「ご無事ですかー!?コォラ隊長―!フェヴァ副隊長―!」

 

「ああ、無事だ」

 

「ご苦労さん」

 

二人とも笑って、梯子を上る。

上昇するヘリの中から、町を見た。

 

「しかし、話には聞いていましたが、物凄いキメラですね」

 

科学班のものが言う。

フェヴァは頷いて下を見た。

物々しいバスが、一台横倒しになっている…のが見えた気がした。

 

「ああ。凄いだろ。町中だと思うんだが…。

被害はどのくらいだ?」

 

「この町丸ひとつ壊滅です。

すでに国境では侵入制限をし、制圧に向けて準備中です」

 

「生き残りはいると思うか?」

 

「・・・それはわかりません。

私たちは隊長を救出するよう指示されたのみです。

副隊長が望む情報は、おそらく基地へご帰還されてからだと思います」

 

「そうか…」

 

「なぁ、悪いけど、この湖をまっすぐ進んでくれるか?」

 

コォラが操縦士に注文していた。

 

「なんだ?コォラ。なにかあるのか?」

 

「見ろよフェヴァ。バスが燃えている」

 

確かに、眼下には燃えているバスがある。

 

「ああ。そうだな」

 

だよな。

ともかく、この向こうに岸があるだろ?そこまで頼むぜ★」

 

「分かりました」

 

怪訝そうだが、操縦士は指示に従った。

 

「・・・お前、ホントに信じてるのか?」

 

「ああ。1人くらいは生きているだろ?

そーゆー馬鹿な希望くらい持たなきゃ、あほくさくてやってられねぇぜ〜」

 

さらりと言われ、フェヴァは思わず微笑んだ。

 

「コォラ…お前。今日はとってもいい奴だな」

 

「はぁ?オレっていっつもいい奴だぜ?

お前見る目ねぇなぁ〜。その目は節穴か?

 

「・・・真顔で言うな。ちょっと頭にきた」

 

「あっはっは〜」

 

 

 

 

 

数時間後

 

マリンアクアでゾンビの群れから逃れるように

船に乗り込もうとする四人の人影を発見する。

モリス。ルオン。ルゥフェー。マイケルだ

 

思っていたより人数が多いことに多少驚きながらも

全員無事、回収した。

 

その後、この町がどうなったか

 

ゴシップ記事にも取り上げられなかった。

 

 

 

 

END

 



 

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